細菌たちの強い弱いは‟doublingtime”が左右している?

昨日は、納豆菌の持つ芽胞の性質を逆手に取って利用した納豆の話しでしたが、内容は「進化している発酵食品学」という、佐々木泰子先生編著(明治大学出版)を参考にさせていただきました。

今日は、この書籍の中でヨーグルトでの乳酸菌の共生について書かれた章がございますので、この一部分をご紹介したいと思います。

そもそも私たちが日ごろ口にしているヨーグルトは、ブルガリカス菌(LB菌・桿菌)とサーモフィルス菌(ST菌・球菌)の2種の乳酸菌の共生によってのみ生産されることがコーデックス(CODEX)によって定義されています。

<CODEXとは食品の国際規格を作成するため、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)が合同で設立した機関のこと>

すなわち、販売されている機能性ヨーグルトは、「LB菌とST菌で発酵させたヨーグルトに機能性のある菌を添加」したものが基本になっています。

これは、LB菌やST菌を単菌培養させたものより、共生して培養させた方が、乳酸の発酵生成速度に倍以上の差が出るため、いち早く乳酸を出してphを下げ他の菌にダメージを与え死滅させることが可能になるからです。

例えば、大腸菌や納豆菌(枯草菌)はdoublingtime、つまり1回の分裂に要する時間が20分と早いのですが、乳酸菌の単菌では速くても40分以上は要し、周囲の菌に勝ち抜くことが出来ません。

よって、乳酸菌2種の単菌を共生することで、そのスピードを上げ、陣地を勝ち取るのです。

菌が強い弱いと言う表現を、これまでのコラムでも頻繁に使って参りましたが、このdoublingtimeがその強さを左右していたんですね。もちろんその菌が生きぬく環境下において、酸素量やph、周りの腸や菌の状態も左右しますから、一概にdoublingtimeだけではないとは思いますが。

感覚的にですが、納豆を食べると腸内が納豆に支配されているような、そんな気になっていましたが、doublingtimeがそんなに速いと当然と言えば当然です。

そして、麹で甘酒を作るときも乳酸菌の発生を極力抑えますが、乳酸菌のdoublingtimeが美味しさを左右するということなんでしょうか!?

「doublingtime」細菌たちが生き抜くための、死活問題?!にもなりえる時間です!

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