<便秘治療薬>熱性便秘の漢方薬『麻子仁丸』について

昨日は、漢方薬の歴史について少し話しをしました。

今日は、いよいよ、昨日熱性便秘の漢方薬としてあげた「麻子仁丸」について、出来るだけ簡単に説明できればと思います。

そもそも、便秘の原因によって、東洋医学(中医学)では処方する方剤(漢方薬)が違ってくるということは最初にお伝えしました。漢方薬はいくつかの生薬が微妙なバランス(過去の経験値などから)で、最も効果的な配合割合で組成されています。

ちなみに、「麻子仁丸」については、7つの生薬から組成されています。

麻子仁・大黄が各500g、杏仁・芍薬・枳実・厚朴が各250g、そして蜂蜜です。

蜂蜜が生薬???って思われる方もいらっしゃるとは思いますが、蜂蜜は、性味は甘暖で麻子仁の潤腸通便を助け、小承気湯(大黄・枳実・厚朴の組み合わされた方剤)の攻下の力(攻下とは、強制的に胃腸の動きを促進させ潤滑にして排便を促進する瀉下類の生薬のなかで最も力が強いもの)を緩和する佐使薬の働きをしています。

すいません、少し難しい説明になりましたが、大きな役割を持つ生薬の働きを上手く調整する生薬を配合することで、漢方薬は成り立っているとご理解ください。それが、蜂蜜を使っている理由です。

この麻子仁丸の主となる君薬は、文字通り麻子仁(画像)です。腸を潤し通便させる作用が強い生薬です。

周りをかためている臣薬に杏仁と芍薬が使われています。杏仁は上半身で肺気を粛降し、下半身で大腸を潤します。中医学では、肺と大腸は表裏の関係がありつながりがあります。肺は乾燥を嫌う臓器ですから、肺が乾燥すると大腸も乾燥するという関連性が見られることがあります。それを潤すのが杏仁の仕事です。

芍薬は血の状態を良くして腹痛を止める働きがあります。(血の状態を良くというのは、ちょっと簡単に説明しすぎなのですが、ここではこうしておきます)

そして先ほどの大黄・枳実・厚朴が組み合わされた小承気湯は、佐薬として熱を抑え乾燥を防ぎ便を下にさげる働きをします。

大黄と言えば便秘に!という印象のある方もいらっしゃるかと思いますが、ここでは、佐薬として使われています。

これは、小承気湯の便を瀉下し熱を抑え通便させる働きをあえて軽減しながら、麻子仁、杏仁、芍薬、蜂蜜の脂によって潤す力をもつ生薬を使っているということになります。

よって、高齢者や産後の腸燥便秘にも使いやすい方剤ということでもあります。どうしても大黄を使うと強くなり身体にも負荷をかけますからね!

それぞれ組成されている生薬には意味があり、その配合割合にも相当な神経が使われ処方されているのがわかります。

麻子仁丸は昨日の傷寒論からいくとおよそ2000年前に処方されたものです。となると2000年前には治験が終わって、使える方剤として世の中の人は飲用していたわけで、それ以前から開発が進んでいたということですね。

2000年前にこれらの効能が事細かく把握出来ていたとは、恐れ入ります。

このコラムをご覧になってくださった皆様!

漢方薬の奥深い世界にようこそ!ですね!(笑)

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