腸内細菌とともに人と共生する「口腔細菌」とはいったい何もの?

今日の画像は口の中を見たイラストです。
これまで人と共生してきた腸内細菌について、色々な角度から詳しく見てきましたが、今日からは、口の中で共生しているバクテリア、口腔細菌について見ていきます。
腸内細菌については、生まれてすぐにお母さんの産道からこの世に出てくる瞬間から腸内に棲みつきますが、口腔細菌についても、外界に出た瞬間から様々な菌を口腔内に取り込み、バクテリアは共生の道を歩みます。
腸内細菌と同様、垂直伝播(2025年5月11日コラム参照)でお母さんから菌を受け取ることが多いのも口腔細菌の特徴です。
腸内細菌は産道を通るとき、また母乳からも多くの細菌を受け取りますが、口腔細菌も生後4か月くらいまでは外界からの赤ちゃん独自の菌で構成しますが、1歳半になるころまでには母親の口腔細菌と似通ったものになると言われております。
腸内細菌でいうところのFusobacteria(フゾバクテリア菌)やStreptococcus(ストレプトコッカス菌)が、口腔細菌でも見られることから、腸内細菌と口腔細菌との関連性は否定できないのではと思います。
ただ、腸内細菌の多くは大腸に棲み、酸素があると生きていけない嫌気性の性質を持ちます。反対に口腔細菌は酸素があるところで生存しています。
フゾバクテリア菌とストレプトコッカス菌の属レベルでは同じ属でも、種で見た場合、違う種が腸内に移り住んだということも言えますが、どちらにしても何らかの関係性があるのではないでしょうか。
特にフゾバクテリア菌については大腸がんの原因にもなるとも言われており、口腔内にいるフゾバクテリア菌については注意が必要だと思われます。
私たちが行っている腸内細菌検査においてもフゾバクテリア菌が多い方については、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群の症状のある方が多いです。
腸内細菌は1000種類100兆個いると言われておりますが、口腔細菌はその種類としては800種類、常に口腔内に棲息するのは200種類と言われております。
口腔内のあらゆるところに棲息していますが、歯垢1g中に1000憶個の口腔細菌が潜んでいるとも言われております。
今日は、腸内細菌と口腔細菌を比較してみましたが、明日からは口腔細菌をもっと掘り下げていきたいと思います。
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