リンパ球の中のB細胞の働きについて

今日も昨日の続きになります。肝細胞癌に対する治療で、6月6日に免疫チェックポイント阻害剤(テセントリク)と血管新生阻害剤(アバスチン)を投与したところ、腫瘍マーカーの数値が1/3に低下したことに加え、リンパ球も標準値近くまで回復したと、昨日のコラムでお伝えしました。
なぜ回復したのかを考慮する前に、そもそもリンパ球とは何かについておさらいしたいと思います。
リンパ球は画像に見られますように、中心部に核を有している免疫細胞です。イラストでYの字が出ているのは抗体を出す、あくまでもイメージです。
一見、ゲゲゲの鬼太郎のおやじに似ていますが、リンパ球は白血球の一種で免疫系における中心的な存在です。
リンパ球には3つの種類があり、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)そしてナチュラルキラー細胞(NK細胞)で構成されています。
まずはB細胞ですが、B細胞は侵入した異物(抗原)が危険であるかどうかを判断し、ウイルスなどを排除する働きをしています。このB細胞が成熟すると形質細胞になり、T細胞の1つヘルパーT細胞と協力し抗体(ウイルスなどの抗原が体内に入ってきた際に攻撃をするタンパク質)を作り放出する役割を持ちます。
そして抗原と戦ったB細胞の一部はメモリーB細胞となって次回の感染に備えます。メモリーB細胞は一度侵入したことのある抗原の情報を記憶し、次回同じ抗原を持つウィルスが侵入した際に敏感に反応し感染を防ぎます。
昨日のコラムでもお伝えしましたが、白血球にはこのリンパ球の他に、好中球、好酸球、好塩基球、単球があります。それぞれの血液検査の結果が良くなっていることは、具体的な数値で示しておりました。
B細胞(Bリンパ球)はこれら白血球のうち約20〜40%の割合を占めている免疫細胞です。ただ、今回の免疫チェックポイント阻害剤は、癌細胞に対するものでウィルスとは関係がないため、B細胞うんぬんは、ここではこれくらいにしておきます。
血液検査はあくまでリンパ球として表記されているため、B細胞、T細胞、NK細胞の構成比はわかりません。ただ、癌細胞がNK細胞の働きを止めていて、その働きを解除するのが免疫チェックポイント阻害剤であるとしたら、NK細胞が一番免疫チェックポイント阻害剤と関係性があるのではと想像はつきます。
T細胞、NK細胞については明日のコラムでお伝えできればと思います。
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