水溶性食物繊維が豊富な寒天を食べても、腸内細菌叢によっては意味がないかも知れないわけとは!?

昨日のコラムでは、食物繊維が‟水溶性食物繊維”と‟不溶性食物繊維”に分けられ、それぞれ‟発酵性食物繊維”と‟非発酵性食物繊維”に分けられるため、4つのパターンがあるのですが、そのうち、水溶性食物繊維で発酵性食物繊維のものを取り上げました。
今日は、水溶性食物繊維でありながら、腸内細菌がダイレクトに分解出来ない非発酵性食物繊維を取り上げます。
具体的には、アガロース(寒天)、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、フコイダン、コンドロイチン、キサンタンガムなどです。
画像は寒天が天日干しされている様子です。
アガロースに括弧書きで寒天とさきほど表記しましたが、寒天は主に紅藻類から抽出される多糖類で、アガロースとアガロペクチンの2つの成分から構成されています。
アガロースが寒天中の大部分をしめており、残りのアガロペクチン部分はイオン性の多糖類のことを指しています。アガロペクチンは構造的にはアガロースと同じ結合形式をしていますが、部分的に硫酸エステル、メトキシル基、ピルビン酸基、カルボキシル基を含んでいます。
「アガロース」「アガロペクチン」とも多糖類、いわゆる高分子炭水化物のことですが、糖類はほとんど含んでおらず、その多くが食物繊維(水溶性食物繊維)で構成されています。寒天で見ると、実に100g中74~79gが食物繊維なのです。
健康効果という面では大注目の寒天ですが、言わずもがな食物繊維ですので人の消化酵素では分解できません。そして今日のテーマである水溶性食物繊維で非発酵性食物繊維に分類されるために、腸内細菌でもダイレクトに分解されることはありません。
ただし、セルロースと同じで、菌の代謝リレーが成立して、工程を経れば最終的には短鎖脂肪酸となります。
セルロースもそうですが、腸内にしっかり代謝リレーしてくれる腸内細菌叢を有しているかどうかがポイントになります。
すなわち、水溶性食物繊維の寒天を一生懸命に食べても人によりますが、すべてがそのまま排出される可能性もあると言うことになります。
後日ご紹介するフコイダンなどもそうですが、高分子多糖から低分子の構造に人工的に手を加えて、消化吸収できるようにされた製品もどんどんと開発されています。
ただ、あくまでも人工的に製造したサプリメントですので、過剰摂取の心配もあります。一部の食物繊維だけを摂取し続けるのも目に見えないリスクを抱えることにもなります。
やはり、腸内細菌のことを知り、自分自身の腸内細菌叢を出来れば把握し、それを踏まえて様々な食物繊維や糖化菌、乳酸菌、ビフィズス菌を摂取すべきかと思います。
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