胎児を異物として認識しない、免疫システムの優れたところ!

異物を認識して攻撃を加えることは、人が元来持つ免疫システムなのですが、自分にとって異物であるにも関わらず、攻撃を加えないケースもあります。

妊娠による胎児は本来なら異物であるはずですが、人にはそれを異物ではないと認識し、攻撃を加えないシステムが備わっています。

このシステムに関わっているのが、ヘルパーT細胞であるTh1とTh2になります。

Th1細胞である細胞性免疫は、本来細胞内病原体に対し免疫応答を行いますが、同じように母体が胎児を認識し免疫系を賦活させます。

これに対し、Th2細胞である液性免疫は、胎児側が免疫からの攻撃に対応します。

これらが同時に行われるわけですが、妊娠においては、胎児を異物とみなすTh1が減少しTh2が優位となり胎児は撃退されることなく、すくすくとお腹の中で胎児が育つことになります。

このシステムを利用しているのが、癌細胞です。

癌細胞はとても利口ですので、自分自身が胎児がごとく、免疫応答を上手くかわすのです。免疫システムが異物と認識しないため、癌細胞を攻撃することなく、どんどんと増殖を続けるというわけです。

この癌の増殖システムに‟待った!”をかけるお薬が免疫チェックポイント阻害剤です。免疫チェックポイント阻害剤は、数年前、京都大学の本庶先生がノーベル賞を受賞したことで知られることになりましたが、今では医療現場では保険適用範囲も広がり、標準治療の1つとして行われている治療法です。

免疫チェックポイント阻害剤と腸内細菌の関係性については、2024年9月2日のコラムで触れていますので良ければご覧ください!

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