腸内で病原菌を殺菌するαディフェンシンは、ビフィドバクテリウム・ブレーベなど有益な菌には殺菌活性しない!

昨日のコラムでは腸管バリア機能の中の『物理的バリア』についてでしたが、今日は『化学的バリア』についてです。
一昨日3月21日のコラムで、化学的バリアについては、微生物に化学的な変化を与えて抗菌活性を発揮するもので、細菌の侵入を抑えるように働く分子と表現していました。
これらをより具体的に見て行きますが、腸の中には「パネート細胞」という小腸上皮の最終分化細胞の一系統で、小腸上皮幹細胞と隣接している細胞がございます。
このパネート細胞の細胞内顆粒中には抗菌ペプチドであるαディフェンシンが豊富に含まれ、他にもRegIIIγ、angiogeninや抗菌タンパク質であるリゾチームなどの殺菌作用を有する物質を有しています。
これらの抗菌ペプチドやリゾチームを分泌することで粘膜表面を除菌しているのです。
ここで非常に興味深いのが、分泌されたαディフェンシンは、病原菌を強く殺菌する一方で、Lactobacillus casei, Bifidobacterium breve, Bacteroides fragilisをはじめとする宿主に有益な共生菌にはほとんど殺菌活性を示さないことです。このように有害な病原菌にのみ殺菌活性を働かせ、腸内細菌叢組成を制御していることが報告されています。
すなわち、パネート細胞αディフェンシンは腸内細菌の組成を適切に制御することによって腸内環境の恒常性を保っていると考えられているのです。
上記の Bifidobacterium breve(ビフィドバクテリウム・ブレーベ)は、以前のコラムでもご紹介した赤ちゃんの腸内に棲むビフィズス菌です。ビフィドバクテリウム・ブレーベはヤクルトのミルミルとして商品化されていますが、赤ちゃんに最初に根付くビフィズス菌ですが、αディフェンシンはビフィドバクテリウム・ブレーベを攻撃しないと言うことになりますね。生まれた時から、しっかり敵味方を認識していると言うことに他なりません。
内容が難しくなって参りましたので、今日はここまでと致します。明日は、化学的バリアの中の‟免疫グロブリンA”についてです。
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