腸内細菌が産生する3つの短鎖脂肪酸の生成過程はそれぞれ違います!

今日も引き続き、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸の8つの有益な働きについてですが、今日は6番目、
⑥血糖値を一定に保つホルモンのインスリンの分泌を調整する、です。
この6番目の短鎖脂肪酸の有益な働きについては、イタリア・バーリ大学の研究チームが2022年1月に発表した研究で明らかになっている部分を中心にお伝えしたいと思います。短鎖脂肪酸の働きが血糖値の調節や代謝健康の維持に重要な役割を果たすことが明らかになり、この研究は腸内細菌叢と短鎖脂肪酸の関係性に新たな知見をもたらしています。
⑥に入る前に、まずは、短鎖脂肪酸の生成過程について見て行こうと思います。
短鎖脂肪酸は、炭素数が2〜6個の脂肪酸であることは以前のコラムで脂肪酸について触れてきた中でお伝えしてきました。その生成過程としては、主に食物繊維や耐性デンプンなどの難消化性炭水化物が腸内細菌によって発酵される過程で生成されます。
詳しく見て行くと、まず食物繊維が腸内細菌の持つ複数のグリコシド加水分解酵素によって分解されます。
グリコシド加水分解酵素の総称をグリコシダーゼと呼び、人は17種類なのに対し腸内細菌は260種類以上を持つと言われています。
そして、短鎖脂肪酸の生成経路は複数存在しています。
人の健康に寄与する短鎖脂肪酸は主に酢酸、プロピオン酸、酪酸の3つですが、その生成経路はそれぞれ違います。
酢酸(C2)はWood-LjungdahlパスウェイまたはアセチルCoAを介して生成され、酪酸(C4)は2分子の酢酸から合成されます。一方、プロピオン酸(C3)はアクリル酸経路、コハク酸経路、プロパンジオール経路など複数の経路を通じて生成されます。
これらの経路は腸内に存在する特定の腸内細菌によって担われています。この特定の腸内細菌については後日お伝えします。
それぞれ独自の経路で生成された短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)は、主な代謝部位や生理的な役割も違います。
また、自分自身がどのような腸内細菌を持っているかによって、酢酸、プロピオン酸、酪酸と、すべての短鎖脂肪酸を生成できるとは限らないのです。
明日以降で、どのような腸内細菌叢であれば、どのような短鎖脂肪酸が生成し、何を食べればいいかなど、具体的に踏み込んでいこうと思います。
画像は、左から酪酸、酢酸、プロピオン酸の化学式です。
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