<漢方薬>六君子湯に配合されているのは、白朮?それとも蒼朮?どちらが正解なのか?!

今日は逆流性食道炎に効く漢方薬「六君子湯」の生薬について見て行こうと思います。

六君子湯につきましては、1月2日からのコラムからの続きになりますので、遡ってご覧くださると良いかと思います。

昨日のコラムで、ツムラの六君子湯は8種類の生薬が配合されており、‟蒼朮”が使われているとお話ししました。それに対して、宋の時代に書かれた「太平恵民和剤局方」には、‟白朮”が使われております。

白朮はオケラの根茎(和ビャクジュツ)もしくはオオバナオケラの根茎(唐ビャクジュツ)を用いているのに対し、蒼朮はキク科のホソバオケラの根茎を用いています。、

和ビャクジュツと唐ビャクジュツの違いは、日本ではオケラの根茎を中国ではオオバナオケラの根茎を用いているためこの呼び名になったようです。

蒼朮も白朮も湿気をとる作用が強く、水分異常に効果的に働きます。これは、中医学(東洋医学)では、オケラが持つ独特な芳香により湿邪を取り除く芳香化湿作用によるものとされています。

湿邪という言葉は聞き慣れないと思いますが、中医学では疾患を引き起こす病原のことを邪気と表現します。邪気は6つの種類(風邪、署邪、湿邪、燥邪、寒邪、火邪)があり六邪と言われます。

邪気は人体の正気を侵して様々な病気を引き起こすとされています。正気とは人体の正常な機能を維持するエネルギーであり、邪気と反対の性質を持っています。

そして、邪気には外邪と内邪があり、簡単に言うと、外邪は外部から侵入する病原のことであり、内邪は体内で発生する病原のことを指しています。

今回の病原は湿邪を指していますが、外気の湿度上昇による不調ではなく、脂ものの摂り過ぎ等による内部の湿邪に起因するものとなります。

よって、蒼朮が生薬として配合されているわけですが、昨日も話しましたが、蒼朮の方が白朮よりも除湿作用には優れています。反対に、消化器(中医学では脾胃と表現します)の機能を高める力は白朮が優れています。

白朮は食欲不振や胃もたれなど弱った消化器管を補う時により効果を発するということですね。

今回の私の場合は、逆流性食道炎ですので脂ものを取り除く内部の湿邪に作用する蒼朮が適しているかと思います。よってツムラの漢方薬「六君子湯」が効くということになります。

ちなみに、両方の効果を高めるため白朮と蒼朮の両方が配合された、二朮湯や半夏白朮天麻湯という方剤もございます。両方とも日本で市販されている漢方薬となります。

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