<腸内細菌>腸内細菌が産生する水溶性代謝物以外のものとは?
ちょっと今日は、腸内細菌に関する最新の研究に基づくものですので、内容が難しくなります。私も理解するのにいくつかの文献を見比べて書いていますが、説明が不十分になるかも知れません、その点はご容赦ください。
これまでの腸内細菌叢がもらたす代謝物の研究は、昨日までに見てきましたが、水溶性代謝物に関するものがほとんどでした。
例えば、短鎖脂肪酸や補酵素となるビタミンB群やビタミンK、トリプトファン代謝物やオルニチン由来のもの、そして昨日のセロトニンに代表される神経伝達物質です。加えて、昨日触れませんでしたが、二次胆汁酸もですね。
これが近年の研究、リピドミクスの発達により脂質代謝物やレチノイン酸を産生することが明らかになりつつあります。
*リピドミクスとは、生体内の脂質分子の変動を網羅的に解析する学術研究のことです。
おそらく、生体内の脂質分子を解析する技術(リピドミクス)がなかったために、腸内細菌の脂質代謝物も明らかに出来なかったということですね。
生体内の分子の世界で起こっていることですので、これまで我々にはまったくわからない世界でした。それが分子レベルのことが判明してきた。腸内細菌にとっても朗報なのかもです。その働きがより広く認められるわけですから(笑)
ちなみにレチノイン酸(画像は化学式)とは、ビタミンAの誘導体で、ニキビやシミ、シワなどの皮膚症状に効果があるとのことです。
このレチノイン酸を腸内細菌が産生するために、具体的にどの腸内細菌が作用するのか、何を摂取すればいいのかなどは、未だはっきりとはわかっていません。
とはいえ、将来的には治療薬に発展するでしょうから、体内の多種多様な腸内細菌を育てておくことは必須と言えそうです。
コメント