<薬膳>貧血には同じ養血類でもにんじんより豚レバーを食べるべき理由とは?
昨日のコラムで薬膳としてのにんじん(スーパーで売られているにんじん)を見てきましたが、今日はもう少し突っ込んでみたいと思います。
にんじんは中医学で言う養血類で、血を補う効能があるのですが、これを栄養成分でみると鉄分が作用していると述べました。赤血球を作るのに必要な栄養成分として葉酸とのタッグも必要なのですが、実はにんじんにはその葉酸も豊富に含まれています。
画像はあえて葉がついたにんじんを掲載しましたが、葉がついたにんじんで葉酸は可食部100g中73μg含有されています。ちなみに葉がついてないものですと23μgとかなり少なくなってしまいます。
よってにんじんは貧血などの予防に役立つ食材だとは言えるのですが、同じ食材で効果を測るとすれば、レバーの方がはるかに葉酸の値は高いです。例えば、レバニラ炒めに一般的に使われる豚レバーですと、100g中に810μg含有されていて葉がついたにんじんの10倍以上になります。
また、豚レバーは中医学的にも養血類で養血はもちろん、明目や補肝の効能もあるとされています。豚レバーは帰経が肝ですので肝臓に作用します。中医学でいう「以臓補臓」臓をもって臓を補うの考えにも合致します。
*帰経とは食材・生薬の持つ効能がどの臓腑に作用するかを示すものです
よって、有効成分だけを考えると貧血にはにんじんより豚レバーが効くということになります。薬膳のにんじんのことを語っているのに、豚レバーを推奨するとはどういうこと?と思われるかもですね。
ただ、豚レバーを食べ過ぎると脂質・たんぱく質が消化酵素で十分にこなせなくなり、腸内細菌の悪玉菌が増えることになります。成分的にも悪玉コレステロールや中性脂肪が増えることになりますね。
よって、貧血の程度がどのくらいなのか、個人差ももちろんあります。そこを正しく判断していくことになりますが、にんじんも豚レバーも食材に変わりなく、少しくらい食べても悪影響はありませんが、薬膳としての効能も少ないということも言えます。
昨日のコラムのように、生薬にも上品・中品・下品のように効果の程度差はございます。下品に行くほど副作用は強く、効果も期待できることになります。
そうなると、漢方薬で補血剤の「四物湯」や補血剤に補気薬を配伍した「当帰補血湯」を服用することになります。
貧血を例にとり養血からにんじんを見てきましたが、あくまでも治療目的ではなく、未病の考え方からにんじんを多めに摂取しながら全体のバランスを図っていくのが食材を使った薬膳ということになります。
明日は、高麗人参について触れていきます。
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