生姜は体を温めるものという常識を裏付けるもの・・・

漢方薬に含まれる生薬を、漢方薬としての効能と栄養成分とを見ながら、探求していきたいと思います。そして可能な範囲で腸内細菌との関係性も見て行ければと思います。

今日は、生薬でも代表的な「乾姜」です。乾姜は体を温めることで知られる生姜を蒸してから乾燥させる生薬です。要するに、いったん熱を加えています。

生姜には、抗酸化作用がある辛味成分のジンゲロールが含まれていますが、熱を加えることでショーガオールに変化します。これが、血行を良くして体をポカポカにしてくれるんですね。

ショーガオールは、このように血管拡張作用や抗炎症作用などがあり、体を温め体調不良の改善に効果があることは、科学的にも確認されています。

では、中医学(東洋医学)はどう見ているのでしょうか?

中医学では、乾姜は温裏類に属します。温裏類とは、主に臓腑を温め、裏寒証を治療する食薬です。難しい言葉が出て参りましたが、臓腑とは中医学でいう内臓の総称で、裏寒証とは簡単に言うと内側の冷えのことですから、お腹の内側からくる冷えの症状を表す場合を指します。

乾姜は五気六味で言うと、熱性で辛味に分類され、効能としては、温中散寒、回腸通脈とありますから、消化器系を温めることで寒さを防ぎ、脈拍を強くし精気を取り戻すと言うことになります。

これを見ると、乾姜の栄養成分の作用と中医学でいう性質や効能とが合致していることがわかります。

以前のコラムでも少し触れましたが、乾姜が生薬として含まれる「大建中湯」が作用するメカニズムは、乾姜に含まれるショーガオールが、腸内の上皮細胞にあるTRPV1の温度センサーを刺激し、腸の神経細胞を活性化することで腸の血流や運動機能を改善するということのようです。

そして、この大建中湯をエサにしているのが、ラクトバチルス菌(乳酸菌)で理化学研究所の佐藤尚子先生らの研究で腸内細菌との関係性が確かめられています。

こうして見てくると、生薬や食材に含まれる成分が体に何らかの作用をしていること、それは、長きに渡り服用されてきた漢方薬の効能を裏付けるものであること、そして、体に棲息している腸内細菌がエサにすることで代謝物を生み出し補完的に働いていることがわかるかと思います。

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