【新連載】第5回 / 似て非なる「病・症・証」~現代科学が裏付ける中医学の治療原則「弁証論治」

今日は中医学を知ろう!の第5回目になります。中医学の疾病に対する認識と治療の基本原則である「弁証論治」についてお話ししたいと思います。

まず、弁証論治を語る前に、疾病を正しく理解し治療につなげるためのキーワード、病・症と証についてどのような意味を持つのかを確認したいと思います。

病とは疾病のことですが、疾の文字は疒と矢の2つを組み合わせたものです。疒はベッドの形から生じた文字で横になる意味を持ち、矢はスピードが速いと言う意味です。矢が命中することで横になると言うことから、急性で怪我をした疾病を指します。

漢字のお勉強っぽくなってきましたが、病についても見て行くと、丙が「脚の張り出た台」の象形から、芽が地上に出て葉が張り出て広がった状態を意味していることから、長期にわたって横になるイメージなのでしょう。こちらは、疾とは反対に重病で横になると言う意味を持ちます。

よって、疾病とは1つの疾病としての全過程を表す表現となります。

次に症ですが、疾病の過程で現れる個別の症状または個別の症候を表します。

ここでまた、症状と症候という紛らわしい漢字が出て参りました。具体例でその違いを表すと、冬かぜの時の発熱・さむけ・頭痛・咳などが個別の症状になります。これに対し、舌苔薄白(これは舌の状態を指します)、脈浮緊(これは脈の状態を指します)が個別の症候になります。

この症候については中医学でいう四診(診断)に関わることにもなりますので、後日別コラムで詳しく見ていきます。

そして、証についてです。証は証候とも言われますが、個別の症状、症候の病理的な現象を、証で総括することになります。

これらをまとめると、医師の目・鼻・耳・口・手によって、疾病の発生からその過程の症状、症候を把握し、各段階において疾病の原因やメカニズム、疾病に関する臓腑、性質、変化などの現象を総合的に分析し、証として総括すること、これが弁証になります。

言い換えると、証に総括する過程が弁証であり、証をかためて、治療方針を決定することで弁証は完結します。

そして、論知は治療原則と具体的な治療方法を論じることとなります。

例えば、さきほどの冬の悪寒・発熱・咳の症状を風寒証(冬のかぜ)と弁証した場合、邪気を取り除く袪邪と言う治療原則に従い、風寒の邪気を取り除く治療方法を立て、生姜、ねぎ、紫蘇などの辛味・温性の食材や中薬を用いて疾病を治すということになります。

この流れの弁証論治については、風邪の原因が邪気からくると言うことで、現代で言うウィルスと置き換えられると思いますが、独特な表現ですので戸惑いがあるかと思います。

そして、治療においても生姜・ねぎ・紫蘇と言う一般的な食材ですので、効果としては漢方薬ほどのものはありません。ただ、食材ですので、身体への負荷は基本的にはありません。

症状・症候に応じて食薬(食材・中薬)の使い分けは必要です。

以前のコラムで大建中湯の成分が腸内細菌(ラクトバチルス菌)に分子レベルで結合し、3型自然リンパ球を活性化し、免疫力が増長されることはお伝えしましたが、多くの漢方薬が何らかの形で人体に作用していることは、科学的な根拠に基づき確かめられてきています。

効果は薄くとも生姜・ねぎ・紫蘇のような食材も、栄養素として分子レベルに分解され人体に作用していることも間違いないと思います。

最後は少し話しがずれましたが、中医学ではこのように弁証論知によりしっかりと検討され治療が行われています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次