腸内に棲む腸内細菌が有機酸を産生することで、人は健康を維持できるんですね!

今日は、腸内細菌が産生する有機酸についてです。

有機酸と言えば、その一種である短鎖脂肪酸を思い浮かべます。今日の画像も、5つの短鎖脂肪酸を掲載したものです。短鎖脂肪酸でも炭素をいくつ含んでいるかにより、その種類が異なってきます。

画像の左上のMethanoic acid(ギ酸)は炭素が一個の短鎖脂肪酸(有機酸)です。このギ酸を短鎖脂肪酸としては見ない学説もございます。

例えば、このギ酸は腸内細菌の中で、どの菌が産生するかと言えば、ビフィズス菌の多くと、ユーバクテリウム菌の一部の菌が産生します。

短鎖脂肪酸と言えば、これまでのコラムでも見て来ましたように、主となるものは酢酸、プロピオン酸、酪酸です。それぞれ炭素数は、順に2個、3個、4個を保有しています。

酢酸はビフィズス菌、バクテロイデス菌、ユーバクテリウム菌、クロストリジウム菌、そしてファームキューテスなどの嫌気性グラム陽性球菌の多くが産生します。(嫌気性菌とは酸素があると生きていけない菌で大腸に棲息しています)

酪酸もバクテロイデス菌の一部と、ユーバクテリウム菌、クロストリジウム菌、ファーミキューテス門の菌が産生しますが、ビフィズス菌に関しては乳酸を産生した後、酪酸産生菌が酪酸を産生することになります。いわゆる菌の代謝リレーです。

酪酸産生菌(酪酸菌)とは、前述のユーバクテリウム菌、クロストリジウム菌、ファーミキューテス門の菌などです。

プロピオン酸はバクテロイデス菌の多くと、クロストリジウム菌の一部の菌が産生します。

クロストリジウム菌は芽胞を形成するのが特徴ですが、ウェルシュ菌などの悪玉菌もクロストリジウム属です。芽胞とは殻のようなものを被ることで長期間外界の影響を受けずに冬眠状態で過ごすことが出来るしくみです。

悪玉菌のウェルシュ菌などが芽胞で眠っていて、周りの環境が悪玉菌優勢になれば起きてきて悪さをします。日和見菌ですので、悪玉菌に加勢していき、環境をより悪くするのです。怖いですね(笑)。

芽胞については余談でした。

乳酸については、短鎖脂肪酸ではありませんが、ビフィズス菌、バクテロイデス菌、ユーバクテリウム菌、クロストリジウム菌、そして嫌気性グラム陽性球菌に属する一部の菌が産生します。ただ、菌の代謝リレーで、乳酸を経て、プロピオン酸や酪酸に変換されています。

このように、最終的に有機酸を産生する腸内細菌(上記に挙げた5つの菌たち)をどのくらい腸内に所有しているかが、健康でいられるかどうかのバロメーターになると言っても過言ではないかと思います。

実際に私たちが実施している腸内細菌検査の結果を見ても、被験者の健康状態と合わせて見た場合、合致しているのがよくわかります。

‟腸内細菌、恐るべし!”なのです!

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