食事から摂った食物繊維は果たして誰が食べるのか?

今日もまた昨日の続きのコラムとなりますが、糖類の中で単糖がいくつも集まった多糖類が出て参りました。その中ででんぷんが消化吸収されていく仕組みは、昨日見てきたのですが、酵素では消化されない多糖類のセルロース(食物繊維)について今日は見て行きたいと思います。

食物繊維は1日の推奨される摂取量が基準として設けられています。確か来年度から25g以上と定義されていたかと思います。

もちろん、これが水溶性食物繊維なのか、不溶性食物繊維なのかは明確には示されていませんが、だいたいの目安量としての数値かと思います。この数値、年々上昇してきているのですが、昔は、食物繊維なんて栄養にならないただのゴミ程度に思われていた時代もありました。

その後、この食物繊維が健康に何らかの効果をもたらしていると言われ出して、注目を集めるようになりました。

そして、現段階では、1日の推奨摂取量が示され、国民はその数値を参考に摂取していくということです。

ただ、よく考えてみると、食物繊維を消化する酵素は人間は持ち合わせていません。では、誰がこの食物繊維を利用しているのでしょうか?ずっとこのコラムをご覧になっていただいている方は、腸内細菌のエサになることはご存じだと思いますが、国が推奨する理由が腸内細菌のエサになるからだとは、一切触れられていないのです。

では、この食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸などの有効成分を生み出してくれる腸内細菌とは何か?になりますね。

主だったもので言うと、Ruminococcus(ルミノコッカス菌)であったり、Prevotella(プレボテラ菌)であったりします。

これらは植物性多糖を分解する能力に優れており、糖分を分解しコハク酸を経由してプロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成すると言われています。

弊社が調べている腸内細菌検査から見ると、Ruminococcusに関しては、多い方で10%未満、少ない方はほぼ0に近い状態の方もいらっしゃいます。

また、Prevotellaに関しては、両極端で、多い方は30%以上保有されていますが、半分くらいの方は0という結果です。

と言うことはどういうことかと言いますと、食物繊維の摂取量は当然、人によって異なるべきで、これらの腸内細菌を持っていない人は、それこそ食物繊維を摂取してもただのゴミとして排出されるだけだと言うことです。と言うのは、ちょっと言い過ぎで(笑)すべてが無駄ではありませんが、代謝能力がないとゴミとして排出される割合も増えると言うことです。

最近は栄養学も、分子栄養学や精密栄養学と言われ、個人個人で栄養を考える時代に突入しています。栄養分を消化吸収するための消化酵素の働きの違いはもちろん、腸内細菌構成比による栄養素の摂取を考える時代です。

それを考えると1日25ℊ以上食物繊維を摂取すべきという指針は、あまりにもアバウトな数値だと言えますね。逆に言い換えると、そのくらいの数値を最低限提示しておかなければ摂取してもらえないからという発想かも知れません。

1人1人がもっと消化吸収代謝に関心を持ち、食への関心を高めれば、より具体的な提示が導き出されるようになるのかも知れませが・・・。

画像は食物繊維量が半分以上を占めるひじきを載せています。ルミノコッカス菌やプレボテラ菌がたくさんいる方は、積極的に摂取しましょう!

明日は、セルロースを上手く分解する草食動物について、書きたいと思います。果たして人とどう違うのかは必見です!

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