<便秘治療薬>冷性便秘の漢方薬『温脾湯』について
今日は昨日に引き続いて、便秘治療薬の漢方、「温脾湯」についてです。
昨日とはうって変わって、今日は冷えが原因となる便秘です。
冷えの病因は、外気の寒さ(中医学では邪気という言い方をします、寒邪とか風邪によるもの)と、冷たいものを摂取しすぎて、腸が冷え切ってしまい便が不通になってしまうことが上げられます。
いずれも寒さや冷えによる便秘ですが、その本質は脾(中医学では消化器系の臓器のこと)の陽不足に起因しており、単純に攻下法で便を強制的に出す処置では、身体を温める陽を傷めることになってしまいます。といって、単純に温補法のみだと寒さが累積したものは除去できません。よって、その両方を処方して改善する生薬が用いられます。
具体的には生薬は、7つ処方されています。
大黄15ℊ、附子・人参・芒硝・甘草 各6g、当帰・乾姜 各9g
まず主となる君薬は、附子と大黄(画像)です。附子は以前にコラムで書きましたが、トリカブトです。基本的には痛みを取る生薬ですが、大辛大熱で、脾を温める機能を有しており、大黄を配合することで冷積を瀉下できます。
周りをかためる臣薬の芒硝は腸を潤し大黄の瀉下効果を助けます。乾姜は附子の温める効果を助けます。
人参(ここでは高麗人参を指します)・当帰は瀉下しても生気を損傷しないように佐薬として働きます。
そして甘草は、人参の益気を助け、調和諸薬の佐使薬の働きをします。
これら7つの生薬がそれぞれの働きで他の生薬の働きを助けながら、最大限の力を発揮できるように、巧みに組成されているのです。
昨日と今日で、2つのパターンの便秘薬を見てきましたが、その病因を特定することなく、便秘だからと大黄を飲用すればいいと言う発想がいかに危険かということがおわかりいただけたと思います。
便秘の要因として考えられているものは、あと5つ(気滞・気虚・血虚・陰虚・陽虚)あります。
その病因がどこにあるのか?を、まずはしっかり把握して漢方薬を選ぶべきということですね!
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