<腸内細菌>腸内マイクロバイオームの5つの存在意義とは?
腸内細菌についてここまで細かく見てきましたが、いったん、まとめてみたいと思います。
参考文献は『実験医学<増刊号>マイクロバイオームと医療応用』です。
この中で、腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)の存在意義として5つにまとめられています。ここまでこのコラムで触れてきたものです。
1つ目は、食物残渣からのエネルギー抽出と人への提供です。腸内細菌のエサになる食物繊維などをエネルギーに変換し人へ提供していると言うものです。
2つ目は、感染性微生物の定着阻止とあります。免疫系の働きですが、外部侵入してきたウィルスや細菌を阻止する働きをします。
3つ目は、免疫系や腸上皮バリアの構築促進です。アッカーマンシア・ムシニフィラなど腸管バリアを高める腸内細菌がこの役割を担っています。免疫系は多くの腸内細菌の作用があります。
4つ目は、中枢及び抹消神経系の発達促進や刺激とあります。先日のセロトニンを代謝物として脳への働きも認められています。
5つ目は、内分泌代謝系の調節です。腸内細菌は補酵素としての役割もありビタミン系の代謝物を産出します。
これら5つが腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)が人にもたらす影響ということになります。
腸内マイクロバイオームと表記していますが、腸管以外にもマイクロバイオームは存在しています。口腔、皮膚、呼吸器、泌尿器(尿道や膣)など外部環境に接している臓器には、何らかのマイクロバイオームが存在しているのです。
人はマイクロバイオームと常に共存し助け合い、時にはお互いに悪影響を及ぼしていることもあります。例えば、手指の消毒をし過ぎると、常在菌も殺してしまうと言う場合などです。
引き続き腸内細菌について見て行きたいと思います。
画像は乳酸球菌をイラスト化したものです。
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