漢方薬の69%に処方されている「甘草」とは、何ぞや!?

昨日は、生薬の乾姜でしたが、今日は漢方薬の69%に処方されている甘草についてです。

どうして、甘草がたくさんの漢方薬に用いられているかですが、甘草は主だった君薬(一番主となる生薬)ではなく、使薬と言って他の生薬を調和する役割を持っています。調和と言うと逆に難しい表現になりますが、それぞれの生薬同士が相性良く他の生薬と、それぞれの効能が最大限発揮されるように上手く導いているという、とても重要な働きを担っています。

69%もの漢方薬に用いられているくらいですから、漢方薬にとっては無くてはならない存在ということですね。これも、数百年、いや数千年の歴史を経てもいまだに、漢方薬の組成はほとんど変更されていないわけですから(一部は変更はされてきましたが)、いかに甘草が漢方薬に有用だったかは明らかです。

逆に言い換えると、この甘草が上手く体内に摂りこめない人は、漢方薬が効かない人ということになります。

そして、この甘草ですが、生薬同士をくっつけるだけでなく、甘草そのものにも効能はあります。中医学の分類としては、補気類(臓腑機能を増強し、気を補う)に属しています。

効能としては、まさに、臓腑機能を増強し気を補う~「補脾益気」、痰を取り除き、咳を止める~「袪痰止咳」、急な痙攣、収縮、緊張を緩めて痛みを止める~「緩急止痛」、そして、諸薬を調和する~「調和諸薬」が上げられます。

また、甘草は炙った炙甘草(画像)として用いられることも多いです。これは、清の時代の中国の文献「本草述」に甘草を炙ると言うのは、甘温にするためと記述されています。この甘温の作用が、陽の不足を解消し、そのことで甘草は諸薬を和して中にするとあります。

陽の不足は冷えのことですから、炙って温めて生薬同士を調和させると言うことでしょう。

そもそも甘草は、その言葉通り、甘い草でショ糖の200倍の甘さと言われています。他の生薬が苦いものが多いため、苦味を緩和させる意味でも使われているのですが、温めるというところはちょっと奥深いですね。

漢方薬の中には身体を冷やす必要のあるものも当然ありますので、そのような漢方薬には甘草は処方されていないということになりますね。調べてみないといけませんが。31%の漢方薬には使われていないのですから。

甘草はまだまだ奥深いですので、続きは明日に致します。

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