免疫チェックポイント阻害剤の奏効率を高めるためには、腸内細菌が重要になります！

今日は腸内細菌と免疫チェックポイント阻害剤の関係性について、少し整理してみたいと思います。

両者に共通するキーワードは‟免疫”ですね。腸内細菌は腸内に棲息し、免疫機能の維持に多方面から関わっています。

腸管免疫と言われますが、免疫細胞の7割は腸内に存在し、その腸管免疫に関わっているのが腸内細菌だというわけです。菌の代謝リレーにより短鎖脂肪酸が作られ、腸管バリア形成や弱酸性に保ち腸管免疫が成されています。

また、過剰な免疫反応を抑える制御性T細胞を増やし、免疫機能を調整するのも短鎖脂肪酸の仕事です。

免疫機能のバランスを取ると言うことから、腸内細菌が人の免疫反応に深く関わっているのは紛れもない事実なのです。

これに対して、免疫チェックポイント阻害剤は、簡単に言うとがん細胞が免疫細胞の働きにブレーキをかけるのを阻止する働きをするお薬です。

腸内細菌も免疫チェックポイント阻害剤もいずれも、免疫機能が上手く働くように作用しています。

こう考えると、腸内細菌叢が理想的な構成比の人は、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率が高くなるのは、ある意味納得のいくところかも知れません。

抗がん剤ががん細胞に直接打撃を加え死滅させるのと違い、免疫チェックポイント阻害剤は免疫機能を阻害するがん細胞の働きを絶ち、免疫機能を有効に働かせるように導くものだからです。

抗がん剤ががん細胞を死滅させるとともに、周りの正常細胞までも死滅させるため、投与された患者さんの体力勝負的な側面（時間差的な側面）がありました。

反対に免疫チェックポイント阻害剤は、人が持つ免疫力（腸内細菌含む）に左右されるとも言えなくもないです。

そう考えると、やはり根本は日々免疫機能をいかに高いレベルで維持するか、理想的な腸内細菌叢をいかに形成していくか、そこに尽きるのではないでしょうか。