高齢者の低栄養状態はたんぱく質不足が原因している

ここまで長寿・短命に影響を及ぼす4つの食品として、塩、魚介類、大豆、ヨーグルトを家森幸男先生の説を取り上げました。
今日からは、魚介類や大豆について家森幸男先生の説を元にその要因を探っていきます。
まず、日本は世界一の長寿大国で平均寿命も男女平均で84歳と高齢なのですが、元気で過ごせている健康寿命は、男女平均で74歳と10年も短く、寝たきりやそれに近い状態で余生を過ごされる方が多いのが実情です。
これは高齢者の低栄養が原因とも言われています。低栄養とはエネルギーやたんぱく質が足りていなくて、健康な体を維持出来ていない状態なのです。
低栄養状態が続くと体の機能が低下し、身の回りのことが出来ず、筋肉が落ち最後は寝たきりの状態になります。
直接的な原因としては、脳卒中、認知症、骨粗鬆症による骨折で、たんぱく質不足が大きな問題とされています。
たんぱく質は、筋肉、臓器、血管など体のすべての素になるもので、分解するとアミノ酸になりますが、このアミノ酸は体内で合成できず食事から摂取する9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」で、合計20種類のアミノ酸で構成されています。
では、たんぱく質をたくさん摂取する方が、本当に健康で長く生きられるのでしょうか?
先生の研究で遺伝的に100%脳卒中を起こす「脳卒中ラット」の話しは以前にこのコラムでさせていただきましたが、脳卒中ラットに1%の食塩水を与えると100日以内に全滅したと言う話しがありました。
しかし、この脳卒中ラットに脳の血管を強化するたんぱく質(魚や大豆)を与えると、血圧の上がり方が緩やかになり、ラットの寿命が延びたのです。
人においてもたんぱく質を多く摂っている人ほど寿命が長いと言うデータもあります。
おもしろいデータがあるのですが、たんぱく質摂取の指標である「血清アルブミン」の値を高い方から4グループに分け、追跡調査をしたところ、一番高いグループ(男性4.6g/dL以上、女性4.7g/dL以上)は12年後に8割の方が生存していましたが、一番低いグループ(男性4.1g/dL以下、女性4.2g/dL以下)は6割しか生存していなかったようです。
これらは脳卒中ラットに見られる研究結果が、あながち人にも当てはまるのではないかと推測できるデータです。
では、たんぱく質なら魚介類や大豆でなくても肉類でもいいのかなど、様々な疑問点が浮かび上がります。
まずは明日、魚介類について健康長寿との関連要因を探っていきます。

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