ミリ単位の癌を見つけるPET検査の真実!なぜ今回は「造影剤MRI」だったのか?

前回のコラムで、私の母の主治医が「PET検査では肝臓のミリ単位の癌細胞までは正確に分析できない」とおっしゃった話しをしました。
実は私は以前は、PET検査は全身の癌をミリ単位で見つける検査というイメージを持っていました。PET検査で癌が見つかっても小さすぎて(1ミリとか2ミリ)、もう少し大きくならないと切れない、と聞いたこともありました。
このあたりを造影剤MRI検査と対比しながら見て行きたいと思います。
MRI検査やCT検査は、臓器の「形」や「血管の状態(血流)」を見て異常を探す検査で、構造を写します。
これに対しPET検査(陽電子放出断層撮影)は、細胞の「代謝(働き)」を見て癌を探す検査で、機能を写します。
では、PET検査のメカニズムを見て行きます。 癌細胞は正常な細胞よりも数倍〜数十倍の「ブドウ糖」を消費するという性質があります。よってPET検査ではブドウ糖に似た微量の放射性物質(FDG)を体内に注射します。すると、FDGはブドウ糖と同じように癌細胞にどんどん取り込まれます。
その取り込まれた状態で全身を撮影すると、FDGがたくさん集まった場所が「白く光って」見えます。これが「癌が活動している場所」のサインとなります。まだ癌細胞が大きくなる、形が変わる前の、ごく初期の段階の代謝異常を捉えることができるのが最大の強みです。
では、なぜ、今回の母の肝細胞癌を見つける検査で、PET検査が選ばれなかったのでしょうか?そして、なぜ造影剤MRI(EOB)」の方が信頼されたのでしょうか?
それは、「肝臓」という臓器の特殊性と、PETが苦手な癌の種類に理由があります。
1つ目の理由は肝臓は元々ブドウ糖代謝が盛んで、正常な肝細胞もブドウ糖をたくさん使うため、癌細胞との区別がつきにくい(白く光る中に癌が埋もれてしまう)という特徴を持ちます。
2つ目の理由はEOB造影剤の存在があげられます。 前回のコラムでお伝えした通り、肝臓には「正常な細胞にだけ取り込まれる(癌を黒く抜く)」という、EOBという強力な特殊造影剤が使えます。癌の性質を利用して「黒と白」で区別するEOB-MRIの方が、ブドウ糖の代謝を見るPETよりも、肝臓に限ってはコントラストがはっきりし、ミリ単位の診断に優れているのです。
では、PET検査はいつ使われるのでしょうか?
PET検査はCTやMRIで局所を見る前に、「全身のどこかに癌がないか」を広範囲に一度に調べるのに非常に適しています。
化学療法後に、癌の「形」は変わっていなくても、中の癌細胞が死滅してブドウ糖を消費しなくなっていれば、PETで光らなくなります。これにより、「薬が効いているか」をいち早く、正確に判断できます。
実際に、私の母も大腸がんの確定診断の際、PET検査を行いましたが、その時に左胸に乳腺癌が見つかり、後に左胸の全摘手術をしました。
PET検査で疑わしきを見つけ、触診で小さなしこりを見つけた、PET検査が有効に働いた典型的な例であったと思います。
このPET検査ですが、保険診療でもそこそこ、保険外診療ならかなりの検査料がかかる検査です。明日は、この検査料が膨らむ原因をお伝えしたいと思います。
今日の画像は、Geminiにコラムを読み込ませ、PET検査と造影剤MRI検査を比較したものですが、PET検査の方も肝臓に焦点を当てているので、PET検査が肝臓には不向きと言う部分がいまいち表現されていませんね。これをGeminiに伝えるとぐちゃぐちゃになりそうですので、今日はこのままの画像で掲載します。

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