中医学の‟肝”と現代医学の‟肝臓”を比べてみた!? ≪血液編≫

昨日は、胆汁の働きから、中医学の肝と現代医学の肝臓を見比べてみました。

今日は、現代医学から見た肝臓の機能である、栄養素を貯え変化させる機能から見てみたいと思います。

人が食べるものは、そのままでは栄養素として体内には取り込まれません。これは、これまでに小腸の働きで酵素が分解して分子レベルまで細かくしてから、血液中に吸収するということをコラムでもお伝えしてきました。

肝臓では例えば、ぶどう糖をグリコーゲンに変えて貯えておき、必要なときにエネルギーとして体内に送りだしたり、骨髄で必要な赤血球をつくるための葉酸やビタミンB12を必要なときに送りだしています。

また、アミノ酸から血液に必要なアルブミンとフィブリノゲン(繊維素)作り、これも血液の中に送り出しています。

では、これらの機能は、中医学の肝ではどうとらえているのでしょうか?

中医学の肝の生理機能のうち、蔵血を司るというものがあります。蔵血とは血液を貯蔵する働きと血量を調節する働きを言います。

血液の貯蔵により、肝陽上亢(肝の働きが異常に亢進する症状)を防いだり、出血を予防したりします。肝陽上亢の具体的な症状は、めまい、頭痛、目赤などがあります。

また、肝は血海とも言われ、女性の生理に重要な役割を果たしているとも言われています。

これらを比べると、中医学は具体的な血液成分には触れずに、血液の貯蔵と血量の調節で全身の健康を維持する重要な働きを肝が担っていると捉えていると言えます。

肝の蔵血の働きが良いほど、肝の疏泄の働きが正常に保たれていると表現しています。

もちろん、中医学の歴史を考えると、細かな血液成分まで探求していくことは不可能でした。しかし、大きな肝というくくりでは、科学が進歩していなかった時代にここまで捉えていたとは、ある種、驚きでもありますね。

*画像は赤血球の顕微鏡写真です

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